ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「さぁ。どうだろうな」

「どうして隠すんですか?」

 社内で見てなんとなく認識していたとかじゃないの? そんな秘密にするような話なんてないはずなのに。

「そのうちわかるよ」

 不満げな私に、颯馬さんは口角を片方吊り上げて笑った。私がさらに唇を尖らせると、彼は楽しそうに噴き出している。

 ……話してくれてもいいのに。本当に、颯馬さんには謎が多い。

 目が合い、颯馬さんが「んっ?」と動きを止める。

「なんでもありません」

 それでも、颯馬さんがここを守ってくれた。それも自分のためじゃなく、私と私の大切な人たちのために。それは紛うことなき事実で、忙しい中
、今日ここへ連れてきてくれた彼に心から感謝していた。
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