蛍火

「…私は、16歳」

「えっ」

ばっとましろの方を見る。
落とされた言葉が信じられなかった。
だって彼女は確かに自分より小さいし見目も幼く見えこそすれ、どこか大人びているような印象があったからだ。
自分より年下だったとは。よくて同い年か上あたりだと思っていた。

思わず見てしまったましろは、優夜の顔を見て少しだけ苦しそうな顔をする。
きゅっ、と唇を噛みしめて、俯いてしまった。

どうしてそんな顔、するんだろう。

「中学校を卒業してからはずっと家にいる。両親は私が小さい頃に事故で他界した。君が来る少し前に、私の世話をしてくれていたテツおじいちゃんって人が病気で亡くなった。両親と、それからテツおじいちゃんが遺してくれたお金はあるけど、保護者がいない状態だし高校に通うのもあんまり乗り気じゃなかったから行かなかった。だから一人」

「は、」

「……君が来たのは、ちょうど私が自暴自棄になっていた頃。中学校では、テツおじいちゃんが亡くなったことで両親の事故死の話も広まっちゃって、死んだのは私のせいだと噂されて、悪魔の子とさえ呼ばれていたよ」

「な、んだよ、それ…」
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