蛍火
ぐ、と胸を握りしめて、優夜は言うのだ。
「…ましろ、俺、お前のこと抱きしめたいんだけど」
「…っ、あ、の、」
苦しくて、切なくて、たまらない。どうにかなりそうだ。
その顔を独り占めしたくて、優夜はましろに近づいた。
彼女はそれに気づくと身じろぎして後ろに後ずさろうとする。きゅ、とその小さな手に縋るように手を重ねると、ぴくっとましろの肩が跳ねた。
白いワンピースから覗く足が尚も後ずさろうと動くが、それを制すようにその顔を上から覗く。
ふるふると睫毛が震えているのが分かった。潤んだ瞳をまぁるく縁取るそれを見つめ、優夜は生まれて初めて、家族以外に甘えるような声を出した。
「…だめ?」
自分でも甘ったるい声だなというのが分かるくらい、それは蜂蜜のように蕩けていた。
「ぁ……」
汗が自分の頬を伝って落ちる。この暑さのせい?いいや、きっとこれは……。
「ゃ、じゃ、ない……」
掠れたようなその声が、愛しいせいだ。
「…ましろ、俺、お前のこと抱きしめたいんだけど」
「…っ、あ、の、」
苦しくて、切なくて、たまらない。どうにかなりそうだ。
その顔を独り占めしたくて、優夜はましろに近づいた。
彼女はそれに気づくと身じろぎして後ろに後ずさろうとする。きゅ、とその小さな手に縋るように手を重ねると、ぴくっとましろの肩が跳ねた。
白いワンピースから覗く足が尚も後ずさろうと動くが、それを制すようにその顔を上から覗く。
ふるふると睫毛が震えているのが分かった。潤んだ瞳をまぁるく縁取るそれを見つめ、優夜は生まれて初めて、家族以外に甘えるような声を出した。
「…だめ?」
自分でも甘ったるい声だなというのが分かるくらい、それは蜂蜜のように蕩けていた。
「ぁ……」
汗が自分の頬を伝って落ちる。この暑さのせい?いいや、きっとこれは……。
「ゃ、じゃ、ない……」
掠れたようなその声が、愛しいせいだ。