明日キミに聴かせたい
また私は首を戻して花瀬名雄に向かって話しをした。
今思えば一方的に話すだけ話して逃げた様に思うけれど、あれが私の気持ちだった。
「「花瀬先輩、放課後に話したいです!覚悟してて下さい!!わかりましたね!絶対ですよ!約束破ったら許しませんから!!」って言ったのになんで居ないんですかー!!」と放課後に教室へ向かった私が伏本先輩を前にして放ったセリフに先輩は笑いながら言った。
「加山さんが名雄の話し聞かずに走って行っちゃったんじゃん」と。
伏本先輩の話によれば、今日は元々花瀬名雄には用事があったらしく、伏本先輩の誘いも「悪い!」と断ると足早に帰ってしまったそうだ。
伏本先輩からのお誘いを断るだなんて花瀬名雄め何様だっつーの!!と叫びたい気持ちを堪えて私は最初の部分だけをボソッと呟いた。
「先輩からのお誘いを断るだなんて…」
「じゃあ加山さんに付き合ってもらおうかな!」
「へ?」
「俺と放課後デートしてもらえますか?」
「あ、へ?え?ええええ!?!?」
こうして予想外の出来事が起こりに起こって私は今、伏本先輩が漕ぐ自転車の後ろに乗り、人生初の自転車二人乗りを体験していた。