明日キミに聴かせたい
「で、これは一体…」
テーブルを囲んで私の向かいに花瀬名雄、私の左側に伏本先輩が座る花瀬名雄の部屋の中の空気は重くないようになのか、音楽がずっと流れていた。
誰の音楽かもわからない謎の音楽が……
「ここならゆっくりじっくり話せるでしょ」と伏本先輩が優しい表情で私に話すと、すぐさま花瀬名雄が「俺が頼んだんだ」と言って、部屋を片付ける時間が欲しいから悪い!と伏本先輩と私を向かえに行く誘いを断り、家に帰ったのだという。
なんだよ、用事って部屋の片付けかよ。
しかもこれで片付けたのか?というほど片付いているのかわからない男性の部屋の中を私は初めて見回していると、花瀬名雄は「白神さんにはチクらないでね」とお願いポーズをしてきた。
頷いたけれど、絶対言ってやろ。と心を中で呟きながら部屋中を記憶した。
「花瀬先輩は、お坊っちゃまなんですか?」
「へ?あ、いやいや、ここは兄貴が住んでるマンションなんだ」
「え?じゃあお兄さん富豪なんですか?」
「富豪っていうほどでも…あ、それより話したいことって何?」
「あ、何って羽流の事に決まってるじゃないですか?いい加減好きになったきっかけ教えて下さいよ」
「あー」と目線を逸らした後「嫌だ」と花瀬名雄は徹底的に理由を話さなかった。
「白神さんに話すならまだしも、君に話す理由は無いから」と花瀬名雄は目線を私に戻して言い切った。