明日キミに聴かせたい
ああ、幼い頃からずっとずっと歩き慣れていたはずの道がこの先も続いているのはわかっているはずなのに、何も不安に思うことも怖がる必要もないはずなのに、ここから一歩がなぜ踏み出せない?
「あははは」
ビクッと肩が動いた時、私の横を二人の女性が笑いながら通り過ぎて行った。
「はぁ……」
誰が悪いわけじゃない。
誰だって笑う。
笑うなという決まりなんてない。
こっちの都合だ。私の都合だ。
~♪~♪~~
笑うキミが好きだって
いつも君が言うから
どこがいいのか鏡でにらめっこ
みんな同じ笑顔 キミは違うと言うから
どこが違うのかまた鏡でにらめっこ
わからないよ わからないよ 教えてよ~
「違いは惚れた奴にしかわからない…からぁ」
あ、コウがいる。
聴けなくなっても私の中に、脳内にコウの歌声がちゃんとある。
大丈夫だ。大丈夫だ。と何度も何度も自分に言い聞かせながら私はマンションの中に入った。