明日キミに聴かせたい
光希さんかな?と振り返ると、そこにはなぜか花瀬先輩が立っていた。
「え、白神さ…ってっめ何白神さん泣かせてんだよ!!お前誰だよっ!!」
ズカズカと私と高志さんに近づくなり高志さんの胸ぐらを掴んだ花瀬先輩の後ろから光希さんが部屋に入ってきて「名雄、ちょ、まっ!!」と言いながら止めに入るのと花瀬先輩が高志さんを殴ろうとしたのがほぼ同時で私は思わず大声を出した。
「先輩この人コウなんです!!」
ピタッと私の声に振り上げた拳を止めた花瀬先輩はそのまま私の方を向きながら「え?」と言って胸ぐらを掴まれたままの高志さんを見てもう一度「え?」と言った。
そして「ぇええ!!!?」とじょじょに声の音量を上げながらゆっくりと手を離し、まだ少し頭が混乱している花瀬先輩のまだ振り上げたままの拳を掴みながら光希さんが花瀬先輩の耳元で何かを呟いた時、花瀬先輩は少し顔を赤らめながら、その場に座り込むと、同じくその場に座った高志さんに頭を下げながら謝った。
「すいませんでした!!まさかあの、あのコウだなんて知らなくて…あの……」
すると高志さんは先ほどまで私に見せていた表情とは真逆の笑みを花瀬先輩に向けながら「許さない♪」と言った。