明日キミに聴かせたい


「奈津ちゃん?どうしたの?」


ポンポン。


なにこれーー!!!

自分のクラスに来た彼女に気づいた彼氏がわざわざ教室から出てきて「どうしたの?」頭ポンポン。みたいなシチュエーション?!


「あ、あの、、、えっと、、た、たち、橘先輩…」

「ん?」


はああああああ!!微笑みいいい!!!
こんなのいただけちゃうんですか!?
忘れないようにカメラのシャッターかよってぐらいにパシャパシャと瞬きをしまくって先輩の微笑みを脳の引き出しに詰め込んだ。


「あ、」

やばいやばい。こんなことしてる場合じゃなかったとふと冷静になった私は、橘先輩の目を見てるようで少し左を見ながら羽流のIDのことについて問いかけた。


すると先輩は20秒ほどの沈黙の末に、あ、正確には19秒。数えてましたから。あは。沈黙の先輩の伏し目もかっこよかったんでつい。


「うん」


沈黙の末に先輩は一言そう言った。



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