明日キミに聴かせたい

「うんって、先輩…」

「羽流って子のIDでしょ?花瀬に教えたよ」

「ど、どうして…ですか?」

「あー、なんか花瀬が前に知りたいって言ってたからさ」

「そ、それだけですか?」

「だけって?」

「その…花瀬先輩に羽流のID教えてお金貰ったりとかって…」

「ふっ……はははは!ないない!そんなことするわけないじゃん。はははは、奈津ちゃん考えすぎだってーあはははは」

「じゃあどうして勝手に花瀬先輩に教えたんですか?こ、個人情報ですよ!?」


笑っていた橘先輩は、私が放った言葉にどんどん表情を変え、さっきまでの笑みなどもう消えてしまい、苛つている表情になっていた。

そして私の髪に触れながら先輩は私の耳元で呟いた。



「よく言えたね。自分だって簡単に羽流ちゃんのID俺に教えたくせに」


その言葉に私はすぐ言い返すことが出来なかった。


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