明日キミに聴かせたい

そんな私の髪に触れたまま、先輩は私の目を見ながら話を続けた。


「花瀬にID教えたのは花瀬が知りたがってたからだし、奈津ちゃんが羽流ちゃんと親しい事を教えてくれたのも花瀬」


え……


「あ、ちなみにだったら奈津ちゃんから聞き出せばいっかって思ったのは俺ね。ねぇなんでかわかる?キミが俺に惚れてんのなんてバレバレだったからだよバーカ」


あれ?橘先輩…?


「けどまさかあんな簡単に親友の個人情報教えるってお前本当に最低すぎだろ。しかも引きこもってるとかペラペラ近況まで喋られた羽流ちゃんにはマジで同情するわ」


「先輩…」

「けど、おかげで花瀬はすげぇ感謝してたからありがとね。だけど俺はさ……」


ぎゅっと強く私の髪を引っ張りながら先輩は、もう一度私の耳元で呟いた。


「お前みたいな自分が好かれるためなら親友も売るような女嫌いなんだよね」


そう言ってグッと最後に強く髪を引っ張って先輩は私の前からいなくなった。



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