明日キミに聴かせたい

「なぁ、君なんかあった?」

「え?なんでですか?」

「なんかさっきから声が泣いてるっつーか…もしかして泣いてる?」


そう言われて頬に触れると涙が伝っていたことに気づいて私は口を塞いだ。


「まぁなんつーか…学校は学校で来るたびに色々あるよな」

「・・・っく」


男子生徒の言葉に返事をしようとしたけれど、上手く言葉が出てこず、鼻をすすりながら男子生徒の次の言葉を待っていると、静かな空気の中で男子生徒は呟いた。


「泣きたいだけ泣きなよ。俺見えないからさ」


見えないわけないじゃん。
雑誌よけたら余裕で見えるじゃん。

そう思いながらも、私は座りながら溢れる涙を無理に止めることもせず、鼻をすすりながら声を殺して泣いた。


「うう……っ…」



その間、男子生徒は何も言わず、同じ体勢でそこに寝転がっていた。

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