明日キミに聴かせたい
橘先輩に対しての熱かった熱はいつの間にかもうどこにもないことに気づいた。
あんなに、あんなに追いかけて、あんなにハマって、あんなに好きだったはずなのに、もうどこにもいないや。
あんなに熱かった私は。
「はぁ…なんかもう…いいや」
いない感情をこれ以上探し回ったって時間の無断でしかない。
立ち止まってそんなものを探している時間があるなら、踏み出してまた歩けよ。もっともっと遠くまで歩いていっぱい摘み取って変わってやれよ。
お前が嫌いと言って突き放した女だって、、
"あいつを見返してやる"
瞳を閉じて、一度深く深呼吸をし、ゆっくりと瞳を開けた時、目の前には古びた壁。
下を向けば自分の上靴を履いた足。
耳には、、、
"大丈夫?"と"良かった"の声があった。
そして私は立ち上がり、スカートを叩いて階段を下りた。