明日キミに聴かせたい
「あの時は…ありがとうございました…その、私の思い過ごしかもしれないけど、あのページの言葉に励まされました…」
「そっか。良かった…俺伝えるとか励ますとか苦手でさ、けどあの時なんとか君の涙を止めたいなって思って…漫画の力ってすげぇな」
そう言ってクスッと笑う声さえも私の胸を掴んで離さなかった。
「あの…ね…」
「ん?また何かあった?」
「え?」
「元気ないっぽいから。その…大したアドバイス出来る自信ねぇけど俺で良かったら聞くよ?」
「あ、あのね…親友の事を好きな男性がいるの…」
私は名前を出さずに名前も知らない男子生徒に悩みを打ち明けた。
何かアドバイスを期待して話した訳じゃない。
でも聞いてほしかった。
きっと、ただこの人に聞いてほしかった。
それだけだったのかもしれない。
話し終えた時、少しの沈黙が続いたけれど、その沈黙さえも苦にならないくらい私はこの場がとても居心地が良いと思えていた。