明日キミに聴かせたい
やがて沈黙を破った男子生徒の言葉に私は静かに耳を傾けた。
「君もそいつも本当に親友が大事なんだね。そう思える人に出逢えて君の親友もそいつの親友も幸せ者だね」
そう言って男子生徒は息を吐いた流れで話を続けた。
「だって俺が君ならそいつの親友がした事は許せないけど、俺がそいつなら許してやってほしいって思うし……なんつーか結果どっちも親友が大事すぎるがゆえなんだよな。だから俺が言える事は、君の好きにすればいいと思うよってことだけかなって思う」
「え…」
「君がとことんそいつの親友の気持ちを聞いた上でそれでも許せないならそれでいいと思うし、許せたとしてもそいつの親友に協力はしないって選択肢もあるし、でも君の親友にちょっとでも前を向いてほしいとか恋愛してほしいとか望むなら話したりちょっと協力してみるのもいいし。親友の事を想うがゆえの君の行動ならどんな結論を出しても間違いは無いんじゃないかな。仮に間違ったと思っても包み隠さず話せば君の親友ならわかってくれるような気がする」
「それどういう…」
「だって君の親友だろ?君が親友を想うように、君の苦しみも喜びも自分の事のように思える人なんじゃないかなって。違う?」
私は男子生徒の言葉に頷きながら羽流の事を思った。