リングサイドブルー
しばらく待ってみたが途中で考えることを諦めたのか、心暖はまた先ほどと同じように千晃の手をぶんぶん振り始めた。

(あと三年もすれば、心暖も小学生だもんな。そろそろ小学校についての情報も調べ始めないと)

 グループの親会社が教育総合企業とはいえ、そういった情報はほぼゼロだ。保育園でも多少は地元小学校の噂話は聞けるものの、母親同士で話をしているところに入って受験についての突っ込んだ話をするのも気が引ける。

(直接学校に行って、資料くらいもらっておいたほうがいいかもしれないな)

 保育園の行事の関係でたびたび有給を取っていたから、そのついでに寄ればいい。スマートフォンで日程を調べ始めると、心暖が千晃のジャケットの裾を引いた。どうやら、一緒にいながら意識が自分に向かないことが寂しいようだ。

「今、心暖の行く小学校のこと調べようかなって思って」

 話を最後まで聞かずに、心暖は千晃の手からスマートフォンを取って、鞄のポケット部分に押し込んだ。

「ごめん」

 女というのは、どんなに小さくてもしっかり女なのだ。どことなく満足げな顔を見て、千晃はその成長ぶりに素直に感心してしまった。
< 11 / 102 >

この作品をシェア

pagetop