リングサイドブルー
「時間とっくに過ぎてるんで。定時上がり推奨だから、帰らせないとまずいんじゃないすか、開発指導をする立場として。労働条件は各社ごとですからね」

 千晃が有無を言わせぬよう、つっけんどんに言い放つと、優月ははっとしたようにモニターの時計を確認して、おつかれさま、と口先だけの挨拶をしてきた。

 平静を装ってエレベーターホールに向かい、フロアに背を向ける。

(どうしろっつーんだ、これ以上)
 壁を殴りたくなる衝動を押さえ込んで、千晃は誰にも聞こえないように舌打ちをした。
< 53 / 102 >

この作品をシェア

pagetop