リングサイドブルー
7

 まどろみを誘う日差しが、深く差し込んでくる。千晃は欠伸を何度もかみ殺していたことで滲んできた涙を拭って、コーヒーを口にした。ちょうど眠気がくる時間だ。

 今朝は嫌がる心暖を少し早めに保育園に連れてゆき、拓斗とその母親が来るのを待った。そのあと少し時間をもらって、心暖の行為を謝罪しながら自分の家庭の状況を説明していると、むなしくなった。

自分の家庭環境を隠して頑張ろうとしたところで無理なのだ。同情の混じった視線をわずかにでも受けると、自分自身に苛立った。

仕事を犠牲にして子育てに時間を割いて、いい父親という判を押してもらっても、すべてが上っ面だけのような気もする。

結局自分には何ひとつ胸を張って「できる」と言えることがないのだという絶望感。昨晩はほとんど眠れなかった。

 優月が荒々しい音を立てて席を立ち上がった。ブラインドで日差しを遮断し、眉間に皺を寄せながら席に戻ると、どん、と片肘をテーブルについた。
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