リングサイドブルー
争いの声が漏れていたのか、いつもは賑やかなはずの総務部内がしん、としている。こんなことも初めてではない。

「今から俺がレビューするから、優月は席に戻って。森住さん、一回それを閉じてください」

 文句言いたげな顔をした優月が席に戻るのを確認してから、千晃は共有ファイルにデータを保存した。

 自分のプログラミングレベルが、この開発チームの水準をはるかに下回っていることくらいわかっている。足を引っ張っていることは百も承知だ。

だが、動くものを作ったあとの段階の気遣いはをしている余裕はない。そんなことをしていたら、いくら時間があっても仕事が終わらないのだ。

 一通りのアドバイスを受け終わったあと「よかったら、別で一度勉強会の時間取りますか。やり始めてみて、色々分からない場所が出てきていると思うので」と神長から提案を受けた。

気持ちはありがたかったが、これ以上仕事に時間を割くことはできない。何もかもが中途半端だったとしても。
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