リングサイドブルー
「ううん、すごくわかります。森住さんの気持ち。わたしも、みんなが助けてくれて、スムーズに時間で上がれることにはすごく感謝してるんですけれど、もっと、昔みたいに仕事に夢中になっていたいっていう気持ちもあったりで。

子どもは大切だけど、子どものためにどこかで折り合いをつけないといけないことが、辛いって思うときもあるし。

こんなこと、ちょっと人には言えないけど。……どれほど恵まれた環境かわかってるし、結局今の環境でしか仕事ができないわけですし、感謝以外は何もないはずなのに」

「……わかります」
 こちらは学生時代から子どものいる暮らしだが、気持ちを代弁してくれたかと思うほど共感できた。

「いまの、うちの会社の人に言わないでくださいね。人事部のみんなに感謝しているのも本当なので」
 首藤はあわてて言葉を付け加えた。
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