リングサイドブルー
「この葛藤ループから抜けるには、新しい価値観で切り抜けるしかないのかなあ」
「新しい、価値観?」

「発想の転換っていうんですかね、わたしもわからないですけど。よくうちの部長がそういう話をするので」

「ああ……。自分の動きは変えられないなら、あとは気持ち次第ってことっすか」

 それが救いだというのなら、ますます救いがないような気がしてしまった。口で言うほど簡単なことじゃない。

「でも、自分ってなかなか変えられないですよね。仕事だからって線引きしようとしたって、結局は毎日の生活のことだし。表面的に納得してるふりしても、自分で自分は誤魔化せないっていうか。いっそふてぶてしく、わたしが世界の中心よ! って思えたらなあ」

 話を聞きながら、千晃は思わず苦笑した。
 断りを入れてから、箸を手に取る。首藤も思い出したように食事の続きを始めた。
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