リングサイドブルー
自分で作った弁当をどう褒められようとも、やはり美味しさは感じない。昼食というのは仕事のように、ただ噛んで胃袋に落とし込むだけの作業だ。

 一足先に食べ終えて、千晃は弁当箱に蓋をした。

「森住さんすみません。このあいだえらそうに『溜め込まないでくださいね』なんて言ってたのに、いつの間にかわたしの話ばかりしてしまっていて」

「いえぜんぜん」
「でもわたし、森住さんの話を聞いて、希望が持てました」

「ええ? 同類を見つけた安心感って意味っすか」

「いえ、そうじゃなくて心暖ちゃんの話。お友達からお母さんの話をされて怒るなんて、森住さんからの愛情がちゃんと伝わってるってことじゃないですか。

ほら、やっぱり専業主婦の友達の、子どもに対する手のかけ具合を聞くとあせったりもしてて。でも、かけた時間イコール愛情じゃなくて、根底にある気持ちを子どもはちゃんと感じ取るものなんですね」
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