リングサイドブルー
心暖のために、ほかの親以上にしっかりしなければいけない。片親だから、母親がいないからと引け目を感じさせないためにも。

蓋を開ければシングルの訳あり男。これはどうしようもない事実だが、心暖まで色眼鏡で見させるわけにはいかないのだ。

 あちこちで場に合わせて顔を作っていると、いったいどれが本当の自分なのかわからなくなることもある。

だがそんなことを考えることすら無駄だと、千晃は割り切っていた。自分が自分らしくいることなど、二の次だった。そもそもが無理なのだ。生活には常に何重ものレッテルが付きまとう。そんな暮らしにももう慣れていた。

 子供同士でしっかりと挨拶をさせてから、保育士の女性から今日の心暖のようすを聞いた。うまく仲間の輪に入れない拓斗を何かと気にかけていたらしい。

自分の前ではいつも甘えん坊の心暖は、保育園だといつもしっかり者だと褒められる。千晃にとって何よりもそれが誇らしかった。
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