リングサイドブルー
「……今日は、保育園楽しかった?」

 それでも千晃が訊くと、心暖はころんと寝返りをうった。それから星の飾りがついた髪留めを引っ張って、ふたつ結びの髪を解き、指で梳く。

「なあ、心暖。明日も拓斗くんと遊ばないの?」
「んー」

「拓斗くんのこと嫌い?」
 ややあって、心暖は首を横に振る。

「喧嘩はしちゃったけどさ、拓斗くんはまた心暖と仲良くしたいんだと思うよ。心暖のほうから話しかけてあげたらどうかな。もしこのまま心暖がずっと拓斗くんのこと避けて、話もしなかったらさ。拓斗くんは心暖に嫌われちゃった、って思うかもしれないよ」

 話の内容がまだ難しすぎるのだろうか。心暖は黙りこくったまま、床の一点を凝視している。

「パパ」
「ん?」

「なんで心暖にはママがいないの?」
 無垢な目で見つめられて、千晃は唇を結んだ。
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