箱入り娘に、SPを。
ほっとして座ろうとしたら、腕を引かれて身体を引き寄せられた。

「心配かけてごめんね。…この“ごめんね”は使いどころ間違ってない?」

思いもしなかったタイミングで抱き寄せられて、ひとまず何度もうなずいて見せる。
すると小太郎さんは私をひょいと持ち上げると、自身の膝の上に乗せてきた。

体勢といい、顔の近さといい、とんでもない鼓動の速さといい、経験したことのないすべてが私に襲いかかりキャパシティーがパンッパンに膨れ上がる。

「会いたかった」

そうすんなり言われてぎゅうっと抱きしめられると、自分の気持ちだけが先走っていたわけではないと安心した。

「私も…会いたかった」

彼に包まれて、そして勇気を出して両手を背中に回す。ゆっくりぎゅっと抱くと、より強く抱きしめてくれた。

よく会えない期間は愛を育んでくれるというが、それは本当だ。会っている時よりも気持ちがどんどん大きくなってゆくのを痛感していた。
それでも、ちゃんと恋愛をしたことがなかったので、自信がまったくなかったのだ。

だからこそ緊張もしていたし、彼が私に会ってどんな反応をするのか不安しかなかった。

しかし、その不安を一瞬で取り去ってくれるほどのあたたかい腕の中と、”会いたかった”という一言の破壊力といったら。


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