箱入り娘に、SPを。
「……というわけで、三上小太郎くん。明日から、うちの娘の護衛をしてもらうことになった。急で申し訳ないが、捜査一課長に話は通したのでそのつもりでいてくれ。仕事内容については─────」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
満足げに話を進めようとする父に、さすがの彼も待ったをかけた。
「あの、たいへん申し訳ありませんが話がよく理解できな…」
「大丈夫、大丈夫。娘と四六時中ずっと一緒にいるだけ。怪しいやつとか近づいてきたらとっちめてやって。それだけ。単純作業よ」
「四六時中!?」
「もーーー!お父さん、やめてって言ったじゃない!!」
私たちの話なんて、父は一切聞いていない。
もう自分の世界に浸っていて、いい人が見つかったなあなんて喜んでいる。
お見合いじゃあるまいし!
「ツネの部下なら信用できる。探す手間が省けた!」
「お、お父さん!警護してくれる人は年配の人にするって言ってたのにどうして……」
以前からそうだったのだが、これまで私を警護してくれていた刑事さんは、全員揃いも揃って父と歳が近そうな人だった。
みんな私と同じくらいの年頃の娘がいると言って、とても優しくしてくれたけれど。
近くにいると「お父さん?」と勘違いされて、ろくな人間関係を築けなかった学生時代を思い出す。
すると父はまたあの拗ねた口ぶりで、だってさあ、とじろりと睨んできた。
「お前に恋人を作らせたくないんだもん。だったら若いやつそばに置いておけば、誰も寄ってこないだろう?」
「い、い、いい加減に……」
「虫よけだよ、虫よけ。頼むよ、三上くん」