箱入り娘に、SPを。
小太郎さんもこの事態に明らかに困惑の色は浮かべたが、覚悟を決めたように立ち上がる。

なにを言われるか、いや、なにかされるのか…。

「お父さん、待って!」

私も立ち上がろうとしたものの、キスの余韻がすさまじすぎて立てなかった。


父は彼の前に立つと、じろりと目を細めて眺めた。

「三上くん」

「はい。申し訳ございません」

即座に謝る彼も彼だが。

「三上くん。そんなつもりで美羽に警護をつけたわけじゃないんだぞ。虫よけって言ったよな?君が虫になってどうする」

「はい。たいへん申し訳ございません」

小太郎さんの口からは「申し訳ございません」しか出ないのか?

「ゴホッ…、君には言いたいことは山ほどある」

相当父にはこたえたらしい。
どこからどこまで見ていたのか、聞いていたのか、それはこちらでは把握できていないが。

「山ほどあるが────」

父はそこで膝から崩れ落ちた。

「君の……た、た、“たいせつにする”って言葉を…信じるからな…!」



「───ねえ!!最低!!全部聞いてたの!?」

余韻はどこかへ飛んでいった。




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