箱入り娘に、SPを。
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『三上くんとの交際は……仕方ないが認める。だが、美羽のSPは外さずに違う誰かを手配する!』

そう言い放ったのは、小太郎さんのお見舞いに行って色々なことを盗み聞きされていたあの日、あの例の(私の中では超重大)事件の直後だ。

『ちょっと待ってよ、そんなのおかしいって!』

抗議しても、父の意思は揺らがなかった。
どれちょっと座るよ、と小太郎さんのベッドにドカッと腰かけると、まるで脅すかのように彼に低い声で話しかける。

『三上くんだってこれからは通常の任務に戻るだろう?そうなると美羽はどうなる?心配だとは思わないか?』

『えーと……、それは…』

小太郎さんは一瞬なにか頑張ろうとでもいうように顔を上げたものの、すぐに口をつぐんでしまった。

そこは頑張ってよ!

『大事に赤ちゃんから育てたハムスターが突然野生に放たれてしまったらどうなる?肉食動物の餌食になるとは思わないか?』

『お父さん。私をハムスターに例えないでよ!』

『お前が勝手に行動して危ない目に遭ったら、それこそ三上くんだって仕事に支障をきたすんだぞ!』

さすがにもういい加減にしてほしい。
お付き合いするのを認めさせることができたところまではよかったものの、そこから先がこんなにまた険しいとは。

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