虚愛コレクション
狙って言っているのかと思うも、彼はそんな人ではない。何一つ変わらない言動が証拠だ。
別段意味などないのだろう。私を喜ばせるだとか、私の事を想うとか、それは無意味な事であるから。
けれどやはり、私は割り切れる程大人じゃないらしい。
「本当に、透佳さんって思わせ振りが上手ですよね」
言えるのは皮肉めいた子供の言葉。
「勝手に勘違いするほうが悪いんじゃないの。他意はないし」
「自分勝手ですね」
「皆、そんなもんだよ」
「そうかも、ですね」
反論等出来る筈もなく、歩き続ける。
今決まった目的地の水族館はここからそう遠くない場所にあるけれど。
「……」
ちらりと、彼のポケットに目を落とした。
そのポケットに入れられた手のひら。手に触れてみたい。
だって今日はクリスマスだ。特別な日だ。
「透佳さん。手、繋ぎたいです」