虚愛コレクション


でもそう、神楽君だって、透佳さんだって言っていた。“依存”だと。

これは恋なんてそんな淡い感情などではないと。

だからこそ、神楽君の行動が邪魔だった。依存する為に邪魔だった。

第三者の介入は目を醒ますきっかけになってしまうから。


「っ、違う、私……それでも神楽君を一番になんてしなかった」


確かに口にしたのに、首を振ってさっき言った事は違うと否定する。

そんな私に対して神楽君は返答とする言葉を告げずに、新しい話を持ち出してくる。


「人の原動力って何だと思う?」

「……」

「僕は、感情の上下だと思ってるんだよね。悲しかったから、とか腹が立ったから、とか。大きく心が揺れ動いた時」

「っ、」


その話は私に身に覚えがあって、人事には思えずに体が硬直する。


「何かをするのには躊躇だってするし、勇気だっている。それを良くも悪くも助長させたのはそう言う感情だと思うんだよな」


だから、躊躇した神楽君は最悪の結末になるまで傍観するつもりだったのだ。

だから、勇気のなかった私はこんな気持ちを誰にも打ち明けられなかった。

彼に打ち明けたのは、歪な関係だからではなく、そう、背徳感を誤魔化す為だったのかもしれない。


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