虚愛コレクション


私に訴えかけながら、神楽君は話を続ける。

問いを返さない私の事とは違い、きちんと答えをを返してくれるのだ。

千代の為と言うのがおかしいと口にした私に対して。


「祈ちゃんも言ったように、僕はあの人の事をずっと前から知ってた」


だからこそ、と唇を噛んで、噛みしめて、その眼を冷ややかに変えた。


「あの人の不幸を願って止まなかったんだよ」

「な、なんで……」


そこまでして彼を恨む理由など無い筈だ。彼と神楽君、いや、千代も、この三人に何の関係があると言うのだ。

ましてや千代と透佳さんは間違いなく初対面だった筈なのだ。


「だって、あの人が不幸であればあるほど、自分が幸せだって思えたから」

「なに、それ」


見えない。見えてこない。そんな歪な自己愛の持つ神楽君なんて知らない。

いや、でも私だって身に覚えがある筈だ。

千代に対して少なからず不幸を願った事だってある。そうすれば私を見てくれると。


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