雨宿り〜大きな傘を君に〜

カレーライスからラーメンまで、やけ食いだと言って崎島はこれでもかというくらい注文した。


「それで?菱川には告ったの?」


クリームあんみつを頬張りながら問われる。


「ううん、まだ」


ごめんなさい。
先生との関係を知られるわけにはいかない。卒業したら全部話すから、もう少しだけ秘密にさせて。


「あの菱川だぜ?私生活はもっとダサい…いや、図書館の前で鉢合わせした時、ちょっと雰囲気違ったよな。目つきとか」


「そうだよね、驚いた」


生徒に好意を抱かれないようパフォーマンスをしているけれど、本当はすごい良い先生なんだよ。


「でも佐渡先生とデキてるって噂あるぜ」


「そうなんだ」


フライドポテトをつまみながら頷く。
やっぱりみんなそう思うよね…。


「まぁ、いいや。とにかくさ、」


勢いよくスプーンを置いた崎島は言ってくれた。



「頑張れよ」



ありがとう。


私の先生への気持ちを、崎島だけには認めてもらいたかった。友達第1号のあなたは、私にとって特別な人だから。
それはこれから先もずっと変わらないだろう。
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