心の中に奏でる、永遠の向日葵



そう思ってる間にも、駅のホームに到着する。


電車を待っていると、ふと下に引かれた、黄色い線が目に入った。


「…この黄色い線ってさ、目が見えない人のためにあるんだよな?」
 

俺がポツリと聞くと、向日葵は白杖で、黄色い線を叩いた。
 

「そうだね。これがなかったら、私は、路線に落ちちゃうだろうし。あと、道しるべにもなったりしてるかな」
 

これまで、何気なく見てたものが、今ではなんだか妙に親近感がわく。


たぶん、向日葵の影響で、『盲目』について無意識に考えているのかもしれない。
 

電車が来たので、向日葵と乗り込む。

なんとなく、向日葵と俺に対する視線を感じた。たぶん、向日葵が白杖を使っているからだろう。
 

こういう視線にも、ずっと耐えて生きていく。

そう考えたら、なんとなく俺は恐怖を感じてしまった。俺は正直、耐えられないかもしれないから。
 

「…また感じる。視線」
 
「え?感じるって…」
 

目が見えないのに、視線を感じるのか?


そう聞く前に、向日葵は口を開いた。
 

「私の事、みんなどう思ってるんだろう?」
 

あまりにも意味深な言葉に、俺は何も答えることが出来なかった。
 

どう思ってるなんて…。俺は、周りの人を、ちらっと見る。


すると、イヤホンをした若い女の人と、一瞬目が合った。が、女の人は、すぐに目をそらす。



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