心の中に奏でる、永遠の向日葵


ちょっと、頭を下げるとか、なんらかの解釈をしてくれればいいのに。


たぶん、あの人も、向日葵の姿を見て、珍しく思ったのだろう。
 

きっとほとんどの人は、向日葵みたいな人を見かけたら、『珍しい』『盲目なんだ』としか思っていないと思う。 
 

でも、そんなふうに考えながら、無意識に向けるその視線は、その人にとっては、非常に耐えがたいこと。

それを、皆は分かっているのだろうか。
 

向日葵は、一見普通の女の子だ。普通の、可愛い女の子。
 

目も、パッと見た限りでは、普通の人と変わらないし、たぶん皆、向日葵の白杖を見て、向日葵を盲目と判断しているんだ。
 

…あれ?待てよ。だったら、白杖を持たなければいいじゃないか。

そうすれば、きっと誰も、向日葵が盲目だとは気づかない。
 

例えば、盲導犬を飼うとか、誰かに手を引いてもらうとか…。
 




誰かって、誰…?
 

「ひ、向日葵はさ、やっぱり、こういう視線って、やだ?」
 

恐る恐る聞くと、向日葵は悲しげに頷いた。
 

「うん。もちろん、嫌だよ。でも、しょうがないよね」
 

嫌、なんだ。いや、当たり前じゃないか。
 

盲目ってだけで、こんな視線を感じるなんて、不公平にもほどがある。ただの偏見だ。
 

でも、だったら、今の俺にできることっていうのは…。
 

電車が、目的の駅に着いた。向日葵と俺がホームに降りると、やはりたくさんの人が、向日葵の方に目を向ける。



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