心の中に奏でる、永遠の向日葵



やっぱり、かえるの歌だからからだろうか。それとも…。
 

俺は、向日葵をちらっと見た。
 

向日葵は一つ息をつくと、上を見上げた。
 

「せーの」
 

向日葵の声を合図に、俺は右手を動かす。
 

最近は、いつも複雑な音ばかり聞いていたから、このくらい単純な音になると、少し新鮮さを覚えた。
 

「かえるの歌が。聞こえてくるよー」
 

向日葵が体を揺らしながら、歌詞を口ずさむ。
 

俺は自分の指なんか見ないで、向日葵を眺めいってしまった。
 

ほんと、聞きたいことが山ほどある。
 

どうして、こんなに君は明るいんだ?

どうして、君はこんなにピアノを楽しく弾けるんだ?
 

俺も、向日葵の明るさを、少しでいいから分けてほしい。
 

盲目なんて、俺の人生には全くかかわらなかった言葉だ。

盲目の人は、一体自分の目に、どんな世界が広がっているのか、そこから俺には分からない。
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