心の中に奏でる、永遠の向日葵


でも、もし自分の見つめているものが突然真っ黒になったら。
 

俺は、生きていけない。絶望の淵に立たされると思う。
 

じゃあ、なんで向日葵はこんなに…。
 

もう一度、向日葵を見つめる。
 

笑いながら、さっき『英雄ポロネーズ』を弾いてた時のように、本当に楽しそうに弾いていた。
 

いつでも笑顔で、俺の心を温かくしてくれる。
 

本当に、彼女は向日葵みたいな人だ。
 

ほら、また君を見てたから、心が軽やかになってきた。

色んなものを溶かしていってくれる。
 

君は笑って、楽しくピアノを弾いてるだけなのに。

俺までこんなに、心地よい気持ちになれる。
 

「あ!」
 

向日葵は突然声をあげると、演奏を止めた。
 

「今、音が明るくなった!」
 
「え?」
 

向日葵の言葉に、俺が瞬時的に間抜けな返事をしてしまった。


「だーかーら!今、日向君の音色が明るくなってたんだよ!」

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