パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
逸人は心配していたが、夜の営業時間には、芽以はもう店に出ていた。
きっと、クマの居る森に行く恐怖から目眩がしただけだろう。
そう思って。
今日は、日向子と静が何故か一緒に店に来ていた。
その辺でバッタリ出会ったのだと言う。
……本当か。
「倒れたんだって? 大丈夫なの?」
注文を取りにいくと、日向子がそう訊いてくる。
芽以の具合が悪いから、店内でまた揉め事起こすなよ、と逸人が、来店早々、彬光《あきみつ》を通じて、日向子たちに釘を刺していたようだった。
「はあ、たぶん、具合が悪いわけではないと思うので。
もうなんともないですし」
と芽以が倒れたわけを語ると、日向子は、
「山に行くのが嫌なら嫌って言えばいいのよ、夫婦なんだから」
と言ってくる。