パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
だが、芽以は、
「でも、それが逸人さんの夢なら、叶えてあげたいかなー、とも思うので」
と答えた。
店を作った当初から、いずれ、山奥に店を構えたいと逸人は言っていたからだ。
しかし、日向子は、
「まあ、最終的に逸人に従うことになるとしても、言うだけ言っとかないとすっきりしないわよ」
と主張してくる。
静は、苦笑いし、
「……君の場合は、なんでも言い過ぎだと思うけどね」
と言っていた。
うーむ。
この二人、どうなってんだろうなー、と思いながらも、芽以は、そこには突っ込まなかった。
「でも――」
と芽以が言うと、二人とも、こちらを見る。
「でも、さっき逸人さんに抱き上げられたとき、この人となら、誰も来られない秘境でも二人きりで暮らせるかなーとか、ちょっと思ってしまいました」
照れながらそう言うと、日向子は、もう勝手にして、という顔をし、静は、
「でも、その誰も来られない秘境、きっとお客さんも来られないよね~……」
と呟いていた。