パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
うーむ。
逸人さんとなら、何処へでも行けるけど。
殺気立っているお姑さんのところに、ひとりで行くのは嫌だなあ。
翌朝、また、甘城《あまぎ》の家と揉めたらしい富美《ふみ》から電話がかかってきたのだ。
芽以がホールでモップを持ったまま、しばらく、甘城の話を聞いていると、逸人がキッチンから、
「芽以、そろそろ開店準備があるからと言って切れ。
俺が言おうか?」
と言ってきてくれた。
だが、ちょうど話は終わりそうだったので、目で断る。
最後まで聞いてあげた方がお義母さんもすっきりするだろうと思ったからだ。
すると、語り終えた富美が、
『そうそう芽以さん。
ちょっと京都に行ってきたから、貴女の好きな水ようかん、お土産に買ってきてるのよ。
賞味期限があるから、取りに来て』
と言い出した。