パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~

 雑木林からは適度に距離があるが、火が移らないか、ちょっと不安を覚えて、周囲を見回すと、庭師のおじさんが苦笑いして、こちらを見ていた。

 ちゃんとバケツに水も用意して、離れた位置でスタンバイしている。

 どうもすみません、となんとなく頭を下げながら、心の中で詫びたとき、

「焚き火
 あったかいよな……」
という圭太の声が聞こえてきた。

 先程までは、普通に見えたのだが。

 よく見れば、焚き火を見る圭太の目は、少しうつろだ。

 ……圭太。

 今、初夏だよ。

 あったかいっていうより、暑いよ……。

 そう思いながらも、芽以は、頭からは日差し、正面からは炎にあぶられながら、一緒にしゃがんでいた。

 ああ……、私が木のおうちのチーズになった気分だ、と思いながら。
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