時のなかの赤い糸


「ふ―――ん」




藤堂は、あたしを見て、それから部屋を出ていった。




「はははっ
佐之助さん大喜びですね。」



平助を見送って次に入ってきた沖田はみんなに笑いかけると、永倉や土方は冷や汗をかいた。




(佐之助の存在忘れてた――!)



「佐之助?」



何がなんだか分からない遥は首を傾げた。



「………綾野。
…………お前、今日から男になれ」




土方の言葉の意味がいまいちまだ飲み込めていない遥は首を傾げた。



が、その理由を理解した時には



「はあぁああぁぁあぁぁあぁぁあぁ?!」




と、屯所に遥の声が響いた。



「…確かに、その方が身の安全だぞ?綾野」



永倉や他の浪士たちは一斉に首を縦にふった。




「…あ、内密ですからね」



と沖田が皆に目を向けて言うと、遥が



「あ、藤堂さん………」




と、言った



そう。藤堂にはバレているわけだから、誰かに話されでもしたら遥の身の安全が保証されないわけだ。




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