あなたの名前は忘れたけれど。
「そしたらね、彼、何て言ったと思う?」


自然と、意識しないまま勝手に喉が鳴る。

ゴロゴロと。


「『そっか』だって。そのまま最後までやっちゃった。

私ってそんなもんなんだなぁ、って思った。

セフレでしかなかったんだなぁ、って…ちょっと悲しくなった」





「動揺してくれないかなぁって期待してたんだけどね。期待なんて、裏切られるためにあるのよね」


俺を撫でる女の子の目が少し伏せる。


「…好きだなあ……」


俺の頭を、心地の良いテンポで、柔らかく撫でるその手を。

悲しげに伏せるその目を。

泣き出しそうな震える声を。


俺に向けたとして、何の意味もないのに。
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