あなたの名前は忘れたけれど。
死なずとも、変えられることはある。


死なずとも、記憶の中に生き続ける事は出来る。


死なずとも…


本音を聴ける術はある。


俺は少し目を細め、「にゃぁ…」と小さく鳴いてみた。

歳をとったせいか、声が掠れて消えそうに宙を舞う。


「ねこ…私は1人だよ」


再び俺の頭を撫で始める女の子。

手が冷たくなってゆく。


女の子を見上げる事をやめ、俺は立ち上がり背伸びをした。


俺が帰る合図だ。


「帰る?また明日も来る??」


妙な質問をする。


死ぬ事を考えておきながら、明日の事を口にするとは。
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