キンダーガーテン四   ~私の居場所に~
みんなが帰った後。

いつものように膝に抱いて

「さすが、俺が惚れた奥さんだ。
益々好きになっちゃったよ。」ってキスしてくれる。

甘えさせる、優しいキスを。

「ごめんね。」

唯の思いが分かる先生は

「何に?
もしかしたら、また俺と四人を天秤にかけたって……
落ち込んでる?」って笑って見せる。

そう。

先生より大切なものはないって思うのに………

先生より友達や家族を大切にしてしまう時がある。

唯を抱きしめ、後頭部をそっと撫でながら

「そんなの当たり前でしょ。
二人だけで生きてるんじゃないんだからね。
気に病むことはないんだよ。
俺はむしろ助かった。
たぶん、3人も。
……………………航も。
あの場で、それが言えるのは唯ちゃんだけだったから。
姫の願いは、絶対だからね!
航にも、最高の後押しが出来たはずだよ。」

そうなのかな?

ただワガママを言っただけなのに。

………………でも、先生がそう言うなら

良い方に転ぶんだろうなぁ。

「海晴ちゃんの悩みって……なんだろう。
航君との、恋愛じゃないと思うの……………。」

そう呟くと

「オッ!
唯ちゃんにしては鋭いね。
大人になったねぇ~」なんて、からかいながら

頭をヨシヨシってするの。
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