届かない想い・愛される喜び

「はい。」
未姫の声だった。

ドアを開けた未姫は、
慌てて閉めようとするから
「待って、話をさせて欲しい。」
「私には、お話しすることは
      ありません。」
「あの時、怖がらせてごめん。
あの日、色々あって・・
だからって未姫にあたって
良いわけではない
だけど、未姫に甘えていたんだ。
バカなんだよ俺は。」
と、言うと
「何を玄関で騒いでいるの?
中に入って頂いてから
話なさい。」
と、未姫のお母さん?
「初めまして、南 海音と申します。
朝早くからお騒がせして
申し訳ありません。」
と、言うと
「いらっしゃい。
私は未姫の母親です。
あっ、未姫、私は隣の由美ちゃんの
所にいって来るから。」
と、言って海音の横を通り
外に出ていった。

未姫は、もぅ、お母さんは。
と、思いながら
「どうぞ。」
と、言ったが
海音は何も言わず、動かない
えっ、と思いながら海音の顔をみると
海音は、辛そうな悲しそうな顔をして
私のお腹を見ていた。

だから、私は
「先に言っておきますが
責任とかいりませんから。
この子は、私のですから。」
と、言うと
海音は、また悲しそうな顔をして
私についてきた。

リビングに行き、座るように言って
コーヒーの準備をする。
コーヒーを持って海音の元にいくと
海音は、いきなり土下座をして
「本当にすまなかった。
謝ってすむことではないことは
わかっている。
だけど俺は、未姫を愛している。
もう一度、やり直して貰えないだろうか
その子の父親にしてもらえない
だろうか?」
と、頭を下げたままでいる。

こんな海音をみたことがないから
どうしてよいかわからずに
「海音・・・・」
頭を上げてと言おうと‥‥‥
「あんた、本当に姉貴を
      幸せにできるの?」
いきなりの男性の声に
海音は、顔をあげて
「はい。お姉さんに辛い思いを
させてしまったことは、お詫びをします。
ですが、俺は、お姉さんと一緒に
なりたいと思っていました。
ですが未姫が、
俺を信じられず、嫌だと言うなら
その対応をしないといけないと
思っています。」
と、言うと
樹也は、海音を黙ったまま見つめ
海音も樹也から目をそらさずにいた。

すると、樹也はふっと笑い
「帰れば。姉貴、この人と。」
と、言った。
「えっ・・」と海音
「・・・・・・」
「じゃ、姉貴と南さんかな
俺は、仕事にいくから
ちゃんと話して。」
「ありがとうございます。
また、改めてご挨拶に伺います。」
と、言うと
樹也は、手を振りながら
出ていった。
「未姫には、弟がいたんだな
俺は未姫の事、何にも知らなくて
すまない。
ずっと探して、両親にも相談して
母親からも父親からも殴られた。
だけど父親が知り合いの弁護士さんに
相談してくれたんだ。
俺は、すべてを正直に弁護士に話して
協力してもらったんだ。
もし・・本当は考えたくないけど
未姫が、俺を許せないなら
弁護士の先生に入ってもらって
未姫に償いをしなければと
思っている。」
と、切実に話す海音に
「はい、わかりました。とは
直ぐに言えなくて・・すみません。
浮気をされたわけでもないし
裏切られたわけでもありません。
だけど・・・
考えさせてもらって良いですか?」
「わかった。
妊娠して大変な時期に
不安を与えてすまない。
もう一つだけ聞いて貰いたい」
と、言うと
未姫はコクりと頷いた。

俺は、花恋の名前は言わずに
幼馴染みと称して未姫にあの日の事を
全て話した。
俺は、幼馴染みの子に
見せつけたりとか
わざとやっているつもりはなく
ただ、自分が楽しかったんだけど。
でも、どこかで疎ましくて
あんな行動をしていたのかもしれない・・
でも何をどういっても
幼馴染みを何年も、
何年も傷つけた事には
かわりない。
こんな俺なんだ。
それも含めて考えて欲しい。」
と、言った。
未姫は
「その子は、いまは?」
「結婚して、海外にいる。
結婚したのも、ついこの間だったけど。」
「そう、それで海音は良かったの?」
「良いもなにも、俺は幼馴染みが
俺に対して、そんな気持ちだとも
知らなかったから。
正直、びっくりした。
でも、俺は傷つけていたんだと
言うショックしかなかったから。」
と、言い
「そんな話を聞かされて
気持ちが動かなかったか
と聞かれたら、確かに多少なり動いたが
幼馴染には、彼がいたから
ただ、心の中がぐちゃぐちゃで
未姫にあたった・・
でも、未姫が居なくなって
やはり、未姫が自分の癒しで
幼馴染みより未姫の行方を
探すのに必死だった。」
と、正直に話をして
未姫の家を後にした。

未姫に
「お母さんと弟さんに
よろしく伝えて欲しい。」
と、お願いしてから・・・・
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