届かない想い・愛される喜び

その週の土曜日に
海音と海音の両親が訪れた。

あの電話の後
二人に確認したら土曜日は
樹也が休みと言うから。

「この度は、私の行動で
未姫さんを傷つけ、
仕事を辞めるまで追い詰めた事
本当に申し訳ありませんでした。
こんな私ですが、未姫さんと
共に生きて行きたいと思っています。
結婚のお許しを頂けますでしょうか」
と、正座をして頭を下げた。
母は、
「私は、この子と海音さんの
間に何があったのか知りません。
この子から、実家に帰って良いか
と、連絡があった時
正直びっくりしました。

未姫は、いつも私に迷惑をかけないように
私に弱音を言ったことがなかったから。

そんな未姫から実家に帰りたいと
言われた時
正直私は、嬉しかったのです。

娘が苦しんでいるのに
変な親だと思われると思いますが。
私や弟を頼ってくれたことが
嬉しかった。

こんな、思いができたのも
海音さんのおかげだと思っています。
自分は我慢しても人を優先する子です。
どうか、この子が甘えることが
できるそんな夫婦になってください。
未姫を宜しくお願いします。」
と、言った。

未姫の目からポロポロと
涙が溢れていた。
海音は、未姫のそばにいき
未姫の涙を拭きながら
未姫の手を握った。

樹也は、海音の目を見て
「姉の事、宜しくお願い致します。」
と、頭を下げた。
「お母さん、樹也さん
ありがとうございます。
必ず、幸せにします。」
と、言った。

海音の父・洋二は、
「息子の行動で、娘さんを
傷つけてしまい申し訳ありませんでした。
未姫さんを傷つけるような奴は、
未姫さんに相応しくない
もう、関わらない方が未姫さんも
幸せなのではないかと
何度も思いました。

ですが、未姫さんと連絡取れなくなって
未姫さんの所在がわからなくなって
必死になって
未姫さんを探してる息子を見て
なぜ大切にしなかったのかと
憤りもありましたが
一緒に未姫さんを探す為に協力しました。

今から先、もし海音が何かしたら
私にいつでも言ってきてください。
殴り飛ばしてやりますから。」
と、言うと
海音は、恥ずかしそうに頭をかき
樹也は、笑い声をあげ
未姫の母は、嬉しそうにしていた。

当人の未姫は
あれから、ずっと探してくれて
いたのだと
申し訳ない気持ちになった。

それからは
6人で、昼食をとりながら
いろんな話をした。
未姫を探すのに相談をこめて
弁護士の先生に依頼したとか
弟の樹也が消防士であるとか
二人が出会ったなれそめとか
洋二と咲桜の保育園の話とか
話はつきなかった。

式は、身内だけで行い
披露宴は、パーティー形式にして
こちらも小規模にすることにした。

海音は、未姫の体調を考えて
「マンションに戻るか
お義母さんの側にいるか
決めたら良い。」
と、言ったが
お義母さんが
「未姫、海音さんの元に帰りなさい。
子供の心配はしなくても良いやろ?
プロの方が近くにいらっしゃる
たくさん、甘えて相談したらいい。」
と、言ってくれた。

もちろん、父も母も大歓迎だったから
一週間後に迎えに来るようにして
海音と洋二、咲桜は帰った。
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