キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
顔を上げる前に、伸ばされた淳人さんの大きな掌に片頬を包まれた。
・・・この温もりを、忘れないでおこう。
目を閉じて、自分からほんのちょっとだけ摺り寄せた。

「リツ」

低いバリトンの声でそう呼ばれるのも、好きだった。




きっと、もうこれで逢えなくなる。
胸の中で、さよならを刻む。
瞼の裏に、淳人さんの姿を閉じ込める。

目を開けて、彼を見上げる。

「・・・・・・・・・ありがとう。淳人さん・・・」


精一杯、微笑みを浮かべた。
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