キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
頭の後ろを掌でやんわり押さえ込まれ、コートに顔を埋めるように。されるがまま抗えない。

「志室に義理立てして、黙って見守ってやった結果がこれとはな。全くのお笑い草だ」

頭の上で続けて聴こえた、温度の消えた冷ややかな声は。あたしじゃなくミチルさんに向かい、放たれてた。
不穏な空気を悟って顔を上げようとしても、びくともしない。

「待・・・っ、淳人さ・・・!」

「俺は認めんぞ。リツは、お前の慰めの道具じゃない」

「・・・・・・淳人。僕とりっちゃんのことにお前が口出しするいわれは、無いはずだろう。・・・その手を離してくれないか」

すぐ背中越しに響いたミチルさんの声は。更に底冷えがしそうな冷たさを孕んで聴こえた。

「リツがお前に惚れてるのをいいことに、手懐けてご満悦か。今ならまだ、“毒”を抜いてやれそうだからな。リツは俺がもらう」

「二度は言わない、その手を離せ。・・・・・・僕を怒らせるなよ、淳人」

その瞬間の背筋が凍るような気配を。どう表現していいか分からない。

抑揚のない、それでいて圧し潰されそうな威圧感に、後ろから刺し貫かれたみたいな。
全身が総毛立って、細胞ごと戦慄いた。
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