キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
「・・・・・・リツ」

全身全霊で声を振り絞り、すがる様に淳人さんのコートを掴んでる頭上で、低く名前を呼ばれた。

緩んだ腕の中から顔を上げ。見下ろす、まだ険しさを解ききってない眼差しに切願する。

「・・・淳人さん・・・、おねがい・・・・・・」

分かって。
祈るように。
魂から。

僅かに目を細めた淳人さんは、少しだけ下ろしてた前髪を掻き上げると。物憂げに息を吐いた。

「・・・・・・お前は何も分かっちゃいない」

その呟きは、どこか苦しそうで。
分からないけど、問い返さないといけない気がした。

「淳・・・」

「りっちゃん」

それを引き戻した静かな声に。
あたしは初めて、ミチルさんを振り返った。
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