キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
もしも。女として愛されるシアワセを選んで、淳人さんの手を取ったら。
ミチルさんは、あたしの前から姿を消して二度と現れない。
ゼロか百の選択。

こんなにもあたしを大事に思ってくれてる人の手を、払ってでも。
ミチルさんを失うより怖いことなんて、あたしには無いから。

「・・・うん。帰ろ・・・、ミチルさん」

淡い笑みを流して。
淳人さんの腕から抜け、ミチルさんの許に還る。伸ばされた腕に力いっぱい、抱き締められる。

「・・・りっちゃん・・・」

切なそうに堪えた声が、あたしの心臓を震わせた。
声にならない呻きが聴こえた気がした。
色んな声に聴こえた。
『行かないで』にも、『ありがとう』にも。

鼻の奥がつんとして、目頭が熱くなった。

ずっと、いるよ。ココロの中で呟く。
約束する。ミチルさんを独りになんかしない。
求められる限り。
傷を舐め合って、優しさだけ別け合って。ミチルさんの拠り所になろう。
おじいちゃんとおばあちゃんになっても、二人でそうして生きていこう。

この指輪に誓いたいって。・・・初めて心からそう願った。
それがあたし達の結婚なんだ、・・・って。初めて真っ直ぐに思えた。
< 138 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop