キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
あたしはもう一度、首を横に振った。
辛いのは。選べるものが一つで、この手に両方は掬えないこと。
そのせいでこの先も、ミチルさんと淳人さんが諍うのは見たくない。

「・・・二人とも、お兄ちゃんと同じくらい大切だから。淳人さんが分かってくれるまで諦めたくない。・・・分かってくれるハズだよ、淳人さんなら」

見つめ返しながら、お腹の底をきゅっと引き締めた。
言葉だけじゃなく、自分で証明してみせれば、きっと。
あたしはシアワセだってことを。

「・・・だといいね」

ミチルさんは仄かに口角を上げ、体勢を戻してハンドルに手を掛けると、静かに車を発進させた。
その先の言葉を少し待ったけど、それ以上は何も言わない。
もしかして、淳人さんを庇ってるみたいに聴こえちゃったかな・・・。
何となく気になって、そっと横顔を窺った。

「・・・ミチルさん。あのね」

「うん」

前を向いたままで、柔らかく返った声。

「えっと・・・、淳人さんの味方とか、そういうんじゃなくて」

懸命に言葉を探す。
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